【農村自然環境プロジェクト詳細】
■補助事業を活用した集落ぐるみでの森林整備マニュアル(2013)
湖東地域では、獣害対策で防護柵や緩衝地帯の伐採をきっかけに、放置林となっている集落周辺の森林を、集落ぐるみで整備する取り組みを始めています。
取り組みは概ね5段階で進められています。
1)まずは自治会で集落ぐるみで森林整備の取組を行うことの合意を得て、推進組織をつくります。
2)次は集落域の森林の地籍図と土地台帳を作成して所有者の状況を把握、これを持って所有者の合意を得ていきます。
3)合意形成後は、自治会等が所有者の代表となって森林組合などと委託契約を結び、今後5ヵ年の伐採計画や作業道の配置、
今後40年間の長期的な管理計画などをまとめた森林経営計画を策定します。
4)造林事業を活用して集落域の里山を5ヵ年かけて整備します。
5)整備した里山を集落で活用します。
この取り組みの内容をマニュアルにし、これを活用して獣害対策を行っている各集落に働きかけ、集落周辺の森林整備を湖東地域で展開するという計画です。
雑木林を含む集落周辺の森林を、集落単位で所有者の状況を把握して、林野庁の造林事業で整備。
地元負担金は伐採木の売上でほぼ無し、若干の還付があるというのがポイントです
■景観形成の合意形成計画(2008〜)
農村地域における景域計画手法検討調査の1項目である、合意形成計画のプロジェクトに携わりました。
ここでいう景域計画とは、農業農村整備事業を実施する際の環境配慮対策の方向性を示すものです。
この環境配慮対策を実現化するためには、計画策定から整備実施までの期間において、整備や利用の内容について、どのような主体(人)をどのように係わらせ、多様な意見をどう収斂し合意に達するかがポイントとなります。
このため計画段階では、この合意に達するまでの手順を示した「合意形成計画」が重要となってきます。
本プロジェクトでは平成22年に実際に整備予定である、岐阜県白川地区の交流施設を対象にモデル計画を策定します。
内容は文献調査と関係者への聞き取り調査より、
1)合意形成に係る関係者の把握、
2)既存条例や計画などの合意プロセスの現状把握、
3)合意形成に向けた課題整理を受けて、
4)合意形成計画
を策定していきました。
■景域計画手法検討調査(2007〜2008)
農村地域における景域計画手法検討調査のプロジェクトに携わりました。
まず、景域とは「地域における土地(自然)と人々の営みによって形成された空間の全体像」と定義しています。
農村地域においては、営農、生態系、景観、歴史・文化等の要素が、自然(土地)の上で互いに密接に関係しあって、景域を構成しています。
このプロジェクトの農業農村整備における景域計画とは、
1)対象地域の環境全体を自然環境、社会環境等の各環境構成要素に区分整理して、地域の環境構造を把握し、
2)その環境構造について、農業農村の有する多面的機能の発現状況から評価診断を行った上で、
3)より適正な環境構造となるように構成要素間の相互の調整のあり方を示し、対象地域の本来的な土地特性に即して、環境全体の
保全・形成をめざすこと
を目的として作成されるものです。
ここにおいて示された環境全体の保全・形成の方向性は、岐阜県白川地区の農業農村整備事業の実施に当たって、環境配慮対策の方向性をも示すものとなることから、景域計画は農業農村整備事業の環境配慮対策の基本構想として位置づけられます。
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